配偶者居住権について

皆様こんにちは、安井事務所の青山です。

12月に入り、天気も冬モード突入ですね。

寒いのが嫌いな私には、嫌な季節です。



さて、今回は、来年4月から導入される相続の新しい制度、配偶者居住権についてです。

配偶者居住権とは、配偶者の居住権を長期的に保護する政策です。


では、なぜこのような政策が導入されたのかを下記の例でご説明したいと思います。


(例)相続人が妻と子であり、相続財産が自宅敷地3,000万円と預貯金2,000円の合計5,000万円であった場合で考えてみたいと思います。

(便宜上、建物価格は0として計算しています。)



親子の折り合いが良く、母に有利な条件で遺産分割がまとまれば何の問題もないのですが、法定相続分でしか相続がまとまらなかった場合には、母は自宅の相続が難しくなってしまいます。

遺産合計が5,000万円であると、法定相続分は2,500万円となります。

そのため、母が自宅を相続すると自宅土地の評価額が3,000万円であることから500万円法定相続分を超過してしまうことになります。


このような場合には、母が自分の財産から500万円を子に渡すこと(代償分割といいます)で、母と子の法定相続分が1/2ずつとなります。

しかし、このためには母が500万円持っていないといけませんし、また、母の手持ち資金が500万円減ってしまいますから、母の将来の生活に影響が出ることも考えられます。

さらに悪いケースでは、母が500万円を持っていないために、自宅を売却して現金化して遺産分割を行うというようなケースもありえます。

こうなると、母は生活していく自宅を失ってしまうことになります。



上記のような問題を解決するために新たに考えられたのが、配偶者居住権です。



自宅の敷地の価値を配偶者居住権と負担付所有権(子の相続分になります)に分けます。

負担付所有権の価値は,建物の耐用年数,築年数,法定利率等を考慮し配偶者居住権の負担が消滅した時点の建物敷地の価値を算定した上,これを現在価値に引き直して求めることができます(負担消滅時までは所有者は利用できないので,その分の収益可能性を割り引く必要があります。)。




では、具体的に配偶者居住権の計算を簡便法で行ってみます。

上記例で父が亡くなったときの母の年齢が75歳であった場合を考えます。





簡易生命表より75歳女性の平均余命は15.86歳の為、土地の価格3,000万円を法定利率の3%で15年分割り戻したものが負担付所有権の現在価値となります。


なお、法定利率は2019年現在5%ですが、民法改正に合わせて3%に引き下げられます。

また、この法定利率は3年ごとに見直されて経済情勢に合わせて上下されるそうです。



上記複利現価表より、年3%の15年目の数値は0.642ですから、3,000万円の負担付所有権の価値は


3,000万円×0.642=1,926万円


となり、配偶者居住権はその差額の1,074万円になります。

こうなると、母は、


配偶者居住権1,074万円+預貯金1,426万円(2,500万円-1,074万円)

合計2,500万円


を取得することが出来ます。

となると、母は自宅に住み続けることが出来ますし、預貯金も相続できるため、安心して暮らすことが出来ますね。


子はその反対の為、

負担付所有権1,926万円+預貯金574万円(2,000万円-1,426万円)

合計2,500万円


を相続することになります。



子供にはあまりメリットがないかもしれませんが、母(配偶者)の老後の生活を意識した法改正なのでしょうね。



年々税金計算が難しくなっていく気がいたしますが、困ったことがあれば当事務所までご相談ください。



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